レスキュー呼吸はなぜ「5秒に1回」?
2025/09/06
PADIレスキューダイバーコースを受講された方の中でも、「なぜ人工呼吸は5秒に1回なのか?」「なぜ最初に2回吹き込むのか?」というトレーニングの理由を知らないまま覚えている方が少なくありません。
今回は、あなたが習ったスキルをしっかりと理解するための記事です、私たちなりに調べたものです、専門家の方のアドバイスなど頂ければとっても嬉しいです。
「こうしなさい」と言われたことの裏にある理由を知ることで、いざという時の対応力が高まり、より自信を持って行動できるようになります。
すでにコースを修了された方にも、これから受講される方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
レスキュー呼吸はなぜ「5秒に1回」?その根拠は?
PADIレスキューダイバーコースなどで、水面で意識のないダイバーに対して「5秒に1回」人工呼吸を行うよう指導される場面があります。この頻度には医学的な裏付けがあります。
アメリカ心臓協会(AHA)ガイドラインでは、呼吸が止まっている成人に対しては「5〜6秒に1回、つまり1分間に10〜12回の人工呼吸」が推奨されています(正常な方の陸上での呼吸回数は12回から20回とされています)。
特に溺水の場合、心停止の原因は心臓ではなく「酸素欠乏(低酸素)」です。このような「呼吸原性心停止」では、心臓マッサージよりもまず酸素を供給することが優先されるのです。
■ 溺水者は「心臓は動いている」場合が多いとされる。
水面で意識を失っていても、すぐに心停止とは限りません。
多くはまず呼吸が止まり、それに伴って酸素が欠乏し、数分後に心停止へ至るのです。
だからこそ、酸素を送り込めば蘇生の可能性が高まる段階であり、人工呼吸を優先します。
🩺 心停止の2つの分類
🟥 心原性心停止
✅ 特徴
- 心臓自体の病気(心筋梗塞、不整脈など)が直接の原因
- 突然意識を失い、直後に呼吸と心拍が止まる
- 成人の突然死で最も多いタイプ
✅ 優先される処置
- 胸骨圧迫(CPR)を最優先
- 初期対応では人工呼吸よりも血流再開が重要
- AED(自動体外式除細動器)が有効な場合が多い
🟦 呼吸原性心停止
✅ 特徴
- 呼吸が止まったことが原因で、徐々に酸素不足→心停止に至る
- 溺水、窒息、麻薬中毒、小児の病気などに多い
- 呼吸停止から数分後に心停止になるパターン
✅ 優先される処置
- 人工呼吸を最優先
- 酸素が足りていないことが最大の問題
ダイバーは水面又は水中でも溺水による呼吸原性心停止が多いことは容易に推測できる。
なぜ最初に2回吹き込むの?中断後も同じ理由?
溺水者や呼吸停止者に対しては、最初に人工呼吸を2回行うようにレスキューダイバーコースでは指導されます。これもまた国際的な救命ガイドラインに基づいた行動です。
- 呼吸停止が主原因であるケースでは、まず肺に酸素を送り込むことが最も重要。
- 最初の2回の吹き込みで、反応や呼吸の有無を確認する意味もあります。
AED装着や搬送などで人工呼吸が一時中断された場合にも、再開時は「2回吹き込み」からとすることで、継続的に酸素を確保する意味があります。
ダイバーとして知っておくべき理由
水中活動では「溺水」や「意識消失」が命に関わる緊急事態につながります。だからこそ、PADIレスキューコースでは水面でのレスキュー呼吸スキルが教えられているのです。
現場で慌てず行動できるよう、「5秒に1回」「最初に2回」「再開時も2回」というルールをしっかり体に覚えさせることが、あなたやバディの命を守る第一歩になります。
🔎 なぜ気道確保が重要なのか?
■ 舌根沈下とは?
意識を失った人では、舌の筋肉の緊張がなくなり、舌の根本(舌根)が重力で喉の奥に落ち込み、気道を塞いでしまう現象です。これを「舌根沈下」と呼びます。つまり、息を吹き込もうとしても――
- 気道が塞がれている
- 胸が上がらない
- 酸素が肺に届かない
という状態になってしまいます。
■ だから「気道確保」が重要
PADIレスキューコースでは、水面でも人工呼吸が効果的になるよう舌根による気道閉塞を防ぐために「気道確保をした状態でのレスキュー呼吸」を強調しています
この手順を守ることで、初めて肺に酸素が送り込まれ、適切なレスキュー呼吸になります。
🔎 鼻をつまむこととレスキューブリージングマスクの重要性
レスキューダイバーコースではレスキューブリージングマスクとマウストゥマウスでのレスキュー呼吸を実施します。
この時にマスクをしっかりとシールすることと花をしっかりとつまんでふさぐことも強調されます。
水面においてレスキュー呼吸をする際、事故者の身体は浮力が確保されているとはいえ、少なからず水圧の影響を受けます、陸上で実施するよりもしっかりとしたシールが求められるのはこのことからです。
講習中は事故者役に配慮して水が入らないことに注意が行きがちですが、シールの理由はしっかり確実に肺に空気を送り込むことです。
レスキューダイバーとして学んだスキルのひとつひとつには、しっかりとした理由があります。
「なぜそうするのか?」を理解することで、本当の意味で役立つスキルへと変わっていきます。
いざという時に自信を持って行動するために、ぜひ今回の内容をあなた自身のトレーニングの一部として、繰り返し振り返ってみてください。
レスキューは“もしも”のための準備ではなく、“いつか”に備えるためのダイバーの責任でもあります。














