エンリッチドエアとは?
2024/11/11
エンリッチドエアとは?
エンリッチドエアとは、通常の空気(酸素21%、窒素79%)に比べて酸素濃度が高く、窒素濃度が低い混合気体を指します。一般的に酸素濃度は22%~40%の範囲で、最もよく使用されるのは32%または36%の酸素濃度です。
エンリッチドエアを使用する主なメリット
1. 減圧症のリスク軽減
酸素濃度が高くなることで、窒素の吸収量が減少します。その結果、窒素の蓄積による減圧症(DCS)のリスクが低下します。
特に複数回のダイビングや長時間の潜水を行う場合、身体に優しい選択肢です。
2. 潜水時間の延長
窒素吸収が少ないため、**無減圧潜水限界(No-Decompression Limit, NDL)**が通常の空気よりも長くなります。
これにより、浅めのダイビングで特に効果を発揮し、同じ深度でより長く水中世界を楽しむことができます。
3. 疲労感の軽減
エンリッチドエアを使用すると、ダイビング後の疲労感が軽減されると感じるダイバーも多いです。
これは窒素摂取量が少ないためで、特に長時間のダイビングや複数日間にわたるダイビング旅行でメリットが顕著です。
4. 安全マージンの向上
深度や潜水計画を厳密に守ることで、通常の空気よりもさらに安全なダイビングが可能になります。
5. 複数ダイビング時の利便性
1日に何本も潜るダイビングスケジュールでも、窒素蓄積を減らせるため、より効率的にプランを組むことができます。
注意点
エンリッチドエアの使用には特定の制約や注意事項もあります。
特別なトレーニングが必要:酸素濃度が高くなることで、高濃度酸素による毒性(Oxygen Toxicity)のリスクが生じるため、エンリッチドエア専用の資格(例:PADI Enriched Air Diver)を取得する必要があります。
酸素分圧の管理:酸素分圧が高いと、特定の深度を超えると危険になるため、使用する混合気体に応じて潜水深度を制限する必要があります。
専用の機材が必要な場合がある:高濃度酸素に対応したダイビング機材(特にレギュレーター)を使用する必要があります。
費用の増加:エンリッチドエアは通常の空気よりもコストが高くなる場合があります。
エンリッチドエアは、より安全で快適なダイビングを提供する素晴らしい選択肢ですが、適切なトレーニングと計画が必要です。特にリゾート地での長時間ダイビングや複数回のダイビングスケジュールにおいて、その利点を最大限に活用できます。